MEC食で離乳食、それってどうなの?<管理栄養士の考察>

いきなりですが、僕の親戚に赤ちゃんが産まれましたーー!とってもめでたい!最近幸せなニュースを耳にすることが少なかったので、自分のことのように嬉しい!

僕が管理栄養士だからっていうのもあって、その奥さんは妊娠中から「葉酸ってサプリで飲んだ方がいい?」「鉄分ってどうやっていっぱい摂るべき?」って質問攻めだったんですよ。ママになると”自分だけの身体じゃない”って意識が出てくるんですね。

「旦那に相談しても”お前気にしすぎでしょ”って取り合ってくれないの」って僕に愚痴を言っていました。どっちの気持ちもわかるから、間に入って喧嘩だけはないようになだめるのが僕の仕事でした(笑)

そんな生活も終了かー、なんて思い出に浸っていたら早速質問が。それが「離乳食って何を食べさせたら良いの?」「お粥じゃなくてMEC食をあげてる人がいるけどどうなの?」って離乳食のことでした。早っ!!

MEC食で離乳食?!って初耳だったのでいろいろ調べてみたんですけど、何だか情報がごちゃごちゃのまま挑戦している人がいて怖くなっちゃいました。ネットにはこんな声が、、、。

ママさんA

正しいかわからないけど、とりあえずやってみようかな

ママさんB

MEC食にしてみたら顔色が悪くなったけど、問題があったのかな?

赤ちゃんは自分からSOSを出せません!話せません!

中途半端な知識で適当に離乳食を与えることだけは今すぐやめてください!身体に不調が出てからどうしようって悩むなんて赤ちゃんが可哀想です。食生活ってダイレクトに体調とつながっています。

親戚ママのためにも世の中のママさんのためにも、MEC食とは何なのか、どうして”お粥ではなくMEC食”という意見があるのかまとめました。

まずは言葉の意味を知ろう!

MEC食と離乳食についていろいろ調べていると、”MEC食”・”離乳食”・”補完食”、この3つの言葉がたくさん出てきます。

  • MEC食で作る離乳食レシピ
  • MEC食は離乳食ではない、補完食だ!
  • 日本も将来は補完食になるだろう!

上の文章を読んで少しでも頭に?が浮かんだ方のために、まずはそれぞれの言葉の意味についてまとめておきますね。

ぶっちー

「余裕でわかるぜ!」ってなったあなたは、この章を飛ばしてOK~!

MEC食

MEC食とは、Meat(肉)・Egg(卵)・Cheese(チーズ)の頭文字をとった食事管理法です。肉・卵・チーズを中心とし、高タンパク・高脂質・低糖質な食生活を目指します。

小さな一口で30回以上噛むことが絶対条件です。満腹感を得やすくなり、自然と低糖質になるからダイエットとしても注目されています。

離乳食

厚生労働省のサイトに”授乳・離乳の支援ガイド”というものがあります。そこを見ると、離乳食とは何か、離乳食で何をしたら良いのか、どんな支援があるのか等わかります。

離乳とは、母乳または育児用ミルク等の乳汁栄養から幼児食に移行する過程をいう。この間に乳児の摂食機能は、乳汁を吸うことから、食物をかみつぶして飲み込むことへと発達し、摂取する食品は量や種類が多くなり、献立や調理の形態も変化していく。また摂食行動は次第に自立へと向かっていく。

引用:授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)

生活リズムを身につけ、食べる楽しさを体験していくことができるよう、一人一人の子どもの「食べる力」を育むための支援が推進されることをねらいとする。

引用:授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)

ちょっと文章が難しいですね。言っていることは簡単なはずなのに、、!あと、これ54ページもあるんです。読むには覚悟が必要ですね(笑)離乳食の定義の部分だけ僕なりにまとめるとこんな感じ。

  • 母乳(ミルク)だけの生活から、噛んで食事をするようになるまでの移行の過程が離乳食
  • 食事に慣れることを目的とする
  • 離乳食を始めることで、生活リズムもだんだん身につけよう!
  • いろんな物を食べることで、食べる楽しさを体験しよう!

僕の息子にもこんな時期がありました。カレーとかパスタの日にはもう親はヒヤヒヤしちゃいますよね(笑)でも、これも食べる楽しさですよ!新聞紙広げてやさしーく見守ってあげましょう。

離乳食に行き詰ったら、無添加の野菜ジュースでも実は良いんですよ。添加物なし、砂糖なしでアレルギーの心配がないものもあるので、こちらの記事参考にしてください。

補完食

日本でも最近耳にするようになった”補完食”。これは、WHO(世界保健機関)が定義しています。WHO著書の”補完食「母乳で育っている子どもの家庭の食事」”内で補完食とは何なのか読むことができます。

補完食(complementary feeding)とは、母乳に加えて他の食物を与えることです。赤ちゃんが成長し、より活発になるにつれて、母乳のみでは子どもの栄養必要量を満たせない月齢に達します。ですから補完食は、母乳から供給される栄養量と子どもの栄養必要量との「差」を満たすために必要となるのです。

引用:補完食「母乳で育っている子どもの家庭の食事」

鉄が不足しやすいので、赤身の魚や肉、レバーを取り入れ、調理用に使用する牛乳・乳製品のかわりに育児用ミルクを使用する等工夫する。

引用:補完食「母乳で育っている子どもの家庭の食事」

世界向けに発信されていることもあって、ちょっと想像しずらい部分もあります。食事の参考例として東アフリカ・インド・中東・南アメリカとか出てくるんですよ。「僕すら行ったことないわ!」ってツッコミたくなっちゃいます(笑)

ちなみに、こちらも僕なりにまとめるとこんな感じ。

  • 母乳(ミルク)だけでは足りなくなる栄養を与えるのが補完食
  • 必要な栄養を与えなければ、子どもの成長が遅くなる
  • 母乳育児は生後2年以上は続けよう。母乳がないなら1日5回食必要!
  • 生後2年間の栄養状態が良い子どもは、その後も良い栄養状態を保ちやすい!

”母乳から離れて幼児食へ”という離乳食とは違い、補完食では、”乳+補完するための食事”ということなんですね。「2歳になってからも母乳を欲しがるなら頻繁にあげよう」と書いてありました。この辺はちょっと日本とは違う気がしますね。

「蚊がいたら蚊帳の中で赤ちゃんを眠らせよう」「殺菌されていない乳汁は一度沸騰させよう」とか、日本の育児書にはあまり書かれていないこともちょくちょくありました。読んでみると結構ハマるかも?(笑)

離乳食と補完食、違いは何?

「MEC食は離乳食ではない、補完食だ!」って主張されている方も結構います。それを聞いて「違いは何?」って悩まれている方もいるのではないでしょうか。

食事の捉え方が違う

僕は、結局ニュアンスの違いかな、と思います。食事をどう捉えるかですね。最初の章で引用を使って説明しましたが、僕なりの解釈をもっともっと簡単にまとめるとこうです!!

厚生労働省

★離乳食★

赤ちゃんにも食事の楽しさを教えてあげよう!一緒に栄養バランスも考えてあげてね。

WHO

★補完食★

母乳(ミルク)だけでは足りない栄養を赤ちゃんに与えよう!特に鉄!鉄!絶対鉄!

こんな感じです。大体わかっていただけましたかね?めっちゃ簡単じゃないですか?

厚生労働省の資料(離乳食)でも、鉄分が足りないことは書かれてはいます。ただ、食事の楽しさを伝えるべきだ!という主張が何箇所にも書かれていました。

WHOの資料(補完食)では、たくさんのグラフを使って鉄分がとにかく足りない!ということを主張しています。日本では当たり前の10倍粥も、栄養素薄めすぎだから他のご飯も一緒にあげてと書かれていました。

おまけ程度に最後の方に、食事時間はリラックスした幸福な時間であるべきと書かれていましたけどね(笑)

僕の母は、いつも彩り豊かな料理で和・洋・中に合わせて食器も使い分けていました。「これは裏山で採れたシイタケよ〜」「白菜が収穫できたらすき焼きにしようね〜」なんていつも食事中は家族で盛り上がっていました。

そんな環境で育ったからこそ、僕は食事の楽しさを知っているし、食事の時間が大好きになりました。食事って、目で楽しんで口で味わい、そして家族で会話を楽しむものだと思っています。

ぶっちー

”栄養を摂るための食事”という考えは、なんだか寂しい、、。

きっとその辺の感情の違いが”離乳食”と”補完食”なのかもしれません。

発展途上国では、ご飯を食べれるかどうかわからない状態の人たちもたくさんいますよね。僕の気持ちを話しても「恵まれすぎでしょ」と怒られちゃうかもしれません。それはごめんなさい。

共通点は”鉄分不足”

生後6ヶ月~11ヶ月の赤ちゃんは鉄分が不足しやすい

というのは共通して言えます。そのため、MEC食を参考にしたレシピで鉄分を補給するのは◎だと思います。WHOの書いた本でもレバーをおすすめしていました。MEC食の離乳食レシピには、レバーや手羽中を使ったレシピが多くありますよ!

赤ちゃんの食事とMEC食の関係は?

赤ちゃんにMEC食を取り入れている人は、「赤ちゃんの成長が遅いからMEC食にした」「落ち着いた育てやすい子になる」と言っている人が多いです。

ただ、肉・卵・チーズを食べるMEC食。卵もチーズもアレルギーチェックしないといけないし、赤ちゃんには最初からバンバンあげられないですよね。だから、離乳食全てをMEC食にするのは無理です。

通っている産院で勧められた人以外は、あくまでも参考として考えることをおすすめします。周りに有識者がいないのに勝手に始めちゃうと、冒頭で紹介した「赤ちゃんが体調悪くなったよ、どうしよう、、」ってママさんと同じ目に遭いますよ。

MEC食中心の生活だと、どうしても野菜が不足しがちになってしまいます。肉・卵・チーズだと食物繊維が摂れないですからね。腸内環境のことを考えると、僕は野菜も食べさせてあげたいです。

MEC食を参考にした離乳食レシピ

鉄分が不足しがちな赤ちゃん。そんな赤ちゃんのためにMEC食を参考にしたレシピをいくつかご紹介します。赤ちゃんは身体も未発達で消化機能も未熟なので、お肉は油の少ない鶏レバー鶏ミンチから始めるのがおすすめです。

レバーペーストを使ったレシピが多いんですけど、下処理にちょっと時間がかかっちゃうんですよ。その間に他の料理を準備したり他の家事をできたら良いんですけど、赤ちゃんがいると想像通りにはこなせないですよね。

「今のこの限られた時間で作りたいんだ!!」ってなったママさんのためにおすすめ動画をご紹介します。手元アップで撮ってくれてるので親切でわかりやすいですよ!

引用:youtube nao mi
ぶっちー

赤ちゃんにだって好き嫌いがあるのを忘れないでね〜!食べてくれなくても、焦らずゆっくりペースで大丈夫!

離乳食初期に使えるレシピ

とてもシンプルなチキンスープ。

慣れさせるためにも、このレシピなら安心して赤ちゃんにあげられますね。

引用:cookpad 【離乳食初期】チキンスープ by あや_2018

離乳食中期に使えるレシピ

手づかみ食べの時期におすすめのレシピ。

かぼちゃが入っているので好きな赤ちゃんも多いかも。

僕の子供もかぼちゃとかさつまいもはパクパク食べていましたよ。

引用:cookpad レバーとかぼちゃのマッシュ by mugi_cafe

豆乳とレバーで作るシチュー。

豆乳は牛乳に比べて低糖質・低脂質なので、MEC食でもよく登場します。

鉄分吸収しやすいのも嬉しい点。

引用:cookpad レバー豆乳シチュー(離乳食) by バッキッキパティシエ

離乳食後期に使えるレシピ

卵やほうれん草、きな粉も入れた栄養満点な蒸しパン。

きちんと卵のアレルギーチェックが完了してからあげてくださいね。

引用:cookpad [離乳食後期〜]鉄分たっぷり蒸しパン by snmioksn

赤身のまぐろも鉄分たっぷり!

MEC食でついつい忘れがちな野菜。スープでしっかり食べさせてあげましょう。

引用:cookpad 離乳食後期★まぐろと野菜のミネストローネ by れいくんママレシピ

大切なのは自分を過信しないこと

今の常識が未来の常識とは限りません。

育児もそうですよね。僕たち20代30代と、僕たちを育ててくれた50代60代の親では育て方に違いがあります。親世代は、よかれと思って生後2ヶ月3ヶ月くらいから赤ちゃんにりんご果汁とか飲ませたがります。

ただ、僕たちの世代は保健センターで「小さなうちから甘いものばかり飲ませないで」と言われているからあげたくないんです。

あと、僕の奥さんは産婦人科の先生から「歩行器は成長の妨げになるから使わないように。」と念押しされたそうです。それも出産直後の分娩室で(笑)昔は当たり前に使っていましたよね。お互いの親が笑顔で歩行器を準備してたときには、ちょっと笑っちゃいました。

話が逸れましたが、、、僕が伝えたいのは”自分の知識を過信しないで”ということです。栄養学だってどんどん新しい知識がうまれています。

僕の激推し”食物繊維”。今でこそ第6の栄養素と言われ、皆さんもいろいろ意識して摂っていると思います。でも、昔は何の意味もない「食べ物のカス」だなんて言われていたんですよ。可哀想すぎでしょ、、。

自分に今必要な情報は何か、そしてその情報は本当に最新なのかどうか勉強することが大切です。

自分の身体ではなく赤ちゃんのことになると、わからないことだらけですよね。そんな時には有識者に相談しましょう。産婦人科でも小児科でも保健センターでも大丈夫です。

まとめ

  • 離乳食は母乳から離れて幼児食へ移行するための食事
  • 補完食は母乳にプラスして足りない栄養を補完するための食事
  • 離乳食と補完食は食事の捉え方が違うくらいで、大体は一緒
  • 赤ちゃんの時期は”鉄分”が不足しがちになる
  • 「たぶんこうかな」「とりあえず試そう」はちょっと待って!
  • 育児は周りの有識者と相談しながら取り組もう!

この記事を読んでいるあなたは、赤ちゃんのために一生懸命頑張っている素敵なママだと思います。悩みも多いと思いますが、程よくリラックスしていきましょう〜。僕のような食事大好きマンの人口が少しでも増えますように、、、!

ミネラルも豊富だし、離乳食にまぜて使ったりと野菜ジュースも使いやすいです。どうしても作る余裕がない時、こちらの記事参考にしてください。

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